Web担当者が急な異動や休暇で不在になったとき、サイトの更新や問い合わせ対応が止まってしまうケースは珍しくありません。もし現在、運用業務を一人の担当者に集中させているなら、その人が離席するだけで業務全体がストップするリスクを常に抱えていることになります。副担当をあらかじめ決めておくことは、こうしたリスクを下げるための現実的な手段です。
ただし、副担当をただ名前だけ決めても機能しません。どの業務範囲を引き継ぐのか、どのレベルの判断を任せるのか、必要なアクセス権や手順書はどこにあるのかが整っていなければ、いざというときに動けません。この記事では、副担当を実際に機能させるための設計の考え方を整理します。
副担当設計の目的と対象を明確にする
副担当を置く目的は、主担当の不在時にWeb運用が止まらないようにすることです。ここでいうWeb運用とは、コンテンツの更新、障害時の一次対応、フォームや問い合わせの確認、外部ベンダーとの連絡などを指します。これらすべてを副担当が完全に引き継ぐことを目指す必要はなく、止まると困る業務に絞って設計するのが現実的です。
対象となる組織の規模や体制によって、副担当の担い方は変わります。専任のWeb担当者が一人いる小規模な体制であれば、他部門から兼任で副担当を立てるケースが多くなります。一方、複数名で運用している体制であれば、業務ごとにサブリーダーを設定する方法が合います。どちらの場合も、副担当が担う範囲を事前に文書化しておくことが重要です。
副担当を選ぶ際の判断基準
副担当に適した人材を選ぶ際には、いくつかの判断軸を整理しておくと選びやすくなります。技術的なスキルだけでなく、業務上の関与度や可用性も同様に重要です。
- 業務への関与度:普段からWebサイトや関連ツールに触れている人が、習熟コストを抑えやすいです。
- 可用性:主担当が不在になりやすい時期に、自身も不在になりにくい立場かどうかを確認します。
- 判断の権限:緊急時に一定の判断を自分でできる立場かどうかも考慮します。承認が必要な業務が多い場合、承認フローごと副担当に移せるか検討が必要です。
- 学習コスト:CMSや管理ツールの操作に慣れるまでの時間を、現実的に確保できるかを確認します。
これらの条件をすべて満たす人材が理想ですが、実際には折り合いをつける場面が多くなります。その場合は、止まると業務に直接影響が出る優先度の高い作業を担える人を先に選び、残りの業務は別途カバー方法を検討する順序が合理的です。
副担当体制を整えるまでの手順と進め方
副担当の設計は、一度に完成させようとするより段階的に進めるほうがうまくいきます。以下の順序で取り組むと、現場の負荷を分散しながら体制を整えられます。
- 業務の棚卸し:現在の主担当が日常的に行っている作業をリストアップします。更新頻度、所要時間、使用ツール、必要な権限の四点を記録しておくと、後の引き継ぎに役立ちます。
- 優先順位の設定:不在時に止まると困る業務と、数日程度であれば待てる業務を分類します。前者が副担当に引き継ぐべき業務の中心になります。
- 副担当の選定と合意:判断基準をもとに候補者を絞り、本人および上長との合意を取ります。名前だけ割り当てて終わりにせず、どの範囲を担うかを書面や共有ドキュメントで明確にします。
- 手順書の整備:副担当が単独で作業を再現できるレベルで手順書を作成します。画面キャプチャを含めた操作手順や、判断に迷ったときの連絡先も記載します。
- アクセス権の付与と確認:CMSや関連ツールへのログイン権限を副担当に付与し、実際にアクセスできることを本人が確認します。権限の付与は情報セキュリティポリシーに沿って行います。
- 引き継ぎ訓練:主担当が在席中に、副担当が実際に手順書を使って作業を試す機会を設けます。問題点や不明点をこの段階で洗い出しておきます。
- 定期的な見直し:サイト構成やツールの変更に合わせて、手順書とアクセス権を定期的に更新します。
手順書の整備は後回しにされがちですが、副担当が実際に使えるかどうかが体制の実効性を左右します。主担当が在席中に一度トライアルを行い、手順書の抜けや不明点を修正しておくことをお勧めします。保守・運用に関する他の記事も参考にしながら、運用設計を体系的に検討してみてください。
副担当設計で見落としやすい注意点とリスク
副担当を設けることで生じやすい問題にも目を向けておく必要があります。設計段階で想定しておくことで、後から修正する手間を減らせます。
まず、権限の過不足に注意が必要です。副担当に与えるアクセス権が少なすぎると、緊急時に作業を完了できません。逆に広すぎると情報漏えいや誤操作のリスクが高まります。必要最小限の権限を付与し、操作ログを残せる環境を整えることが基本です。
次に、手順書の陳腐化があります。サイトのリニューアルやCMSのバージョンアップが行われたとき、手順書が古いままになるケースは多くあります。更新のタイミングを業務カレンダーに組み込んでおくと、見直しが定着しやすくなります。
また、副担当への過度な依存も避けるべきリスクです。副担当も休暇や異動によって不在になる可能性があります。副担当が一人だけの場合、その人が不在になると再び体制が機能しなくなります。可能であれば、複数人が手順書を参照できる状態を保つことを検討してください。社内だけで体制を完結させることが難しい場合は、外部委託を含めた補完方法を検討する選択肢もあります。その際は保守・運用サービスの内容を確認し、自社の不足している部分と照らし合わせることが判断の手がかりになります。
最後に、副担当の負荷管理も重要です。兼任で副担当を担う場合、通常業務との兼ね合いで実際には対応できない状況になることがあります。副担当の業務量を定期的に確認し、体制が形骸化していないかを見直すことが必要です。
副担当体制を実行する前のチェックリスト
副担当の設計が整ったかどうかを確認するために、以下の項目をチェックしてください。実行前に一通り確認しておくことで、見落としを防げます。
- 主担当の日常業務がリストアップされているか
- 不在時に優先して引き継ぐ業務が明確になっているか
- 副担当の選定と担当範囲について本人および上長の合意が取れているか
- 副担当が単独で作業を再現できる手順書が作成されているか
- 手順書に操作手順・使用ツール・連絡先が含まれているか
- 副担当に必要最小限のアクセス権が付与されているか
- 実際にアクセスできることを副担当本人が確認しているか
- 引き継ぎの訓練または手順書の読み合わせを一度実施しているか
- 手順書の定期見直しタイミングが決まっているか
- 副担当も不在の場合の代替手段を検討しているか
Web運用の副担当体制は、作っておくだけでなく機能する状態を維持することが目的です。体制の設計や見直しについて専門的なサポートを検討する場合は、お問い合わせページからご連絡ください。
