Webサイトを改善しようとしたとき、どのページをどの順番で直せばよいか迷うことがあります。特に、訪問者が目的のページへたどり着くまでに離脱している場合、どの経路で問題が起きているかを把握しなければ、改善の的が絞れません。そのような場面で役立つ概念がユーザーフローです。
ユーザーフローとは、訪問者がWebサイトに入ってから目的のページや操作を完了するまでの経路を、図や表で可視化したものです。どこから来て、何を経由し、どこへ向かうかという一連の流れを整理することで、設計上の問題点や改善余地を見つけやすくなります。
ユーザーフローの目的と対象を理解する
ユーザーフローを作成する目的は、主にふたつあります。ひとつは、Webサイトの設計段階で経路を事前に整理することです。もうひとつは、公開済みのサイトで実際の訪問者の動きを分析し、改善点を発見することです。
対象となるのは、特定のゴールへ向かう一連の操作です。たとえば、問い合わせフォームの送信、商品の購入完了、資料請求といったゴールを起点として、そこへ至るまでにどのページを経由するかを順番に並べます。ページ単体の評価ではなく、経路全体のつながりを見ることがポイントです。
ユーザーフローは、Webサイトの設計者や制作者だけでなく、マーケターや運営担当者にとっても有用です。サイト全体の構造を共通認識として共有するための資料としても活用できます。Webマーケティングの観点からも、経路の可視化は施策の優先順位を判断する基本的な材料となります。
ユーザーフローを構成する要素と図の読み方
ユーザーフローの図は、いくつかの要素を組み合わせて作られます。それぞれの役割を把握しておくと、図を読んだり作ったりする際に迷いが少なくなります。
- エントリーポイント:訪問者が最初にアクセスするページやチャネルです。検索エンジン、広告、SNS、直接アクセスなど流入元ごとに異なります。
- ページやステップ:訪問者が経由する各画面や操作のまとまりです。四角形で表すことが多く、ページ名や画面名を記載します。
- 分岐:条件によって経路が変わる箇所です。菱形で表すことが一般的で、はい・いいえや選択肢に応じて矢印が分かれます。
- ゴール:訪問者が完了すべき操作やページです。フォーム送信完了ページや購入完了ページなどが該当します。
- 離脱ポイント:訪問者がサイトを離れる可能性がある箇所です。改善の優先度を判断するうえで重要な情報になります。
これらの要素を矢印でつなぐことで、一連の経路が視覚的に把握できるようになります。図の複雑さはサイトの規模や目的によって変わりますが、ゴールから逆算して必要な経路を整理すると作りやすくなります。
ユーザーフロー・サイトマップ・カスタマージャーニーの違いを判断基準にする
似た概念として、サイトマップやカスタマージャーニーマップがあります。どれを使うかは、目的と対象範囲で判断します。
サイトマップは、Webサイトのページ構成を階層で示したものです。どのページが存在するかを把握するための資料であり、経路の流れや訪問者の行動は表しません。
カスタマージャーニーマップは、顧客が商品やサービスを認知してから購入・利用するまでの体験全体を時系列で描くものです。WebサイトだけでなくSNSや店頭なども含む広い範囲を対象にします。感情や思考の変化も含めることが特徴です。
ユーザーフローは、Webサイト内の具体的な操作経路に絞った図です。ページ間の移動順序と分岐を中心に整理するため、サイト設計や改善の実務に直接使いやすい形式です。
目的が設計上の経路整理であればユーザーフロー、ページ一覧の整理であればサイトマップ、体験全体の把握であればカスタマージャーニーマップというように使い分けると、それぞれの強みを活かせます。
ユーザーフローを作成する手順と進め方
ユーザーフローを作成するには、まずゴールを決めることから始めます。何を完了した状態をゴールとするかが明確でないと、どのページを含めるかが定まりません。
- ゴールを定義します:問い合わせ送信、購入完了、資料ダウンロードなど、訪問者に達成してほしい操作を一つ選びます。
- エントリーポイントを洗い出します:訪問者がどこから入ってくるかを整理します。検索流入、広告経由、トップページからの遷移など、複数の入り口がある場合はそれぞれ記載します。
- 経由するページと操作を順番に並べます:エントリーポイントからゴールまでに通過するページや操作を、矢印でつなぎながら並べます。
- 分岐を追加します:ログイン済みかどうか、特定の条件を満たすかどうかなど、経路が変わる箇所を菱形で示します。
- 離脱が起きやすい箇所を書き込みます:ページ遷移が多い箇所、入力が必要な箇所、エラーが発生しやすい箇所などを明記します。
- 図を整理して共有します:FigmaやMiro、PowerPointなどのツールで清書し、チームで確認します。
既存サイトの分析が目的であれば、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで実際の遷移データを確認し、図と照らし合わせると精度が上がります。設計段階の場合は、想定される訪問者像(ペルソナ)をもとに経路を描くと、見落としが減ります。
ユーザーフロー作成・活用時の注意点とリスク
ユーザーフローを作成する際には、いくつかの落とし穴があります。あらかじめ把握しておくことで、作り直しの手間を減らせます。
まず、経路を単純化しすぎることに注意が必要です。訪問者の行動は一直線ではなく、同じページを複数回閲覧したり、途中でブラウザバックしたりすることがあります。すべての動きを網羅する必要はありませんが、主要な分岐や戻り経路を省きすぎると、実態と乖離した図になります。
次に、作成して満足して終わりになるリスクがあります。ユーザーフローは一度作ったら完成ではなく、サイトの更新やコンテンツの追加に合わせて見直す必要があります。定期的にアクセス解析データと照らし合わせ、実際の遷移と図の内容にズレが生じていないか確認することが大切です。
また、複数のゴールをひとつの図に詰め込もうとすると、図が複雑になって読みにくくなります。ゴールごとに図を分けるか、大まかな全体像を示す図と詳細図を使い分けると管理しやすくなります。
ツール選びも影響します。チームで共同編集する場合は、リアルタイムで変更を共有できるクラウドツールが適しています。個人で管理する場合はスプレッドシートや紙でも問題ありませんが、更新のたびにバージョンを管理する仕組みを決めておくと混乱が防げます。ホームページ制作の設計フェーズでは、関係者全員が同じ図を参照できる環境を整えることが特に重要です。
ユーザーフロー作成・見直し前のチェックリスト
作成または更新を始める前に、以下の項目を確認しておくと作業がスムーズに進みます。
- ゴールが明確に定義されているか
- 対象とする訪問者像(ペルソナやセグメント)が決まっているか
- 主要なエントリーポイントが洗い出されているか
- 経由するページと操作の一覧が手元にあるか
- 分岐が発生する条件が整理されているか
- アクセス解析データで実際の遷移を確認できる環境があるか
- 図を共有・管理するツールと保存場所が決まっているか
- 更新のタイミングと担当者が決まっているか
- 既存のサイトマップや画面設計と照らし合わせる機会があるか
ユーザーフローは、Webサイトの経路を可視化して改善に活かすための基本的な手法です。Web用語集で関連する概念も合わせて確認しながら理解を深めると、設計や分析の精度が上がります。具体的な改善施策の進め方については、お問い合わせからご相談いただくことも可能です。
