サイトを公開しているのに、問い合わせや購入といった目標につながらない場合、原因のひとつとして情報への経路が機能していない可能性があります。訪問者がどのページから入り、どのように移動し、必要な情報に辿り着けているかを確認しないまま、デザインや文章だけを修正しても改善には結びつきにくいです。このような状況では、閲覧目的ごとに情報までの経路をテストするアプローチが役立ちます。
このテストの目的と対象を整理する
サイトの情報到達テストとは、代表的な閲覧目的を設定し、その目的を持つ訪問者が必要な情報にたどり着けるかどうかを段階的に確認する作業です。アクセス解析で数値を見るだけでなく、経路そのものを人の目で追うことで、数値だけでは見えない詰まりを発見できます。
対象となるのは、すでに公開済みのサイトで、問い合わせ数や目標達成率に課題を感じている場合です。ページ数が少ない小規模サイトでも、ページが多い中規模以上のサイトでも、基本的な考え方は共通しています。リニューアル前の現状把握や、リニューアル後の検証にも応用できます。
経路を評価する判断基準
経路の良し悪しを判断するには、いくつかの軸を持っておくと比較しやすくなります。目的・手間・リスクの三つの観点から整理します。
目的達成までのステップ数は基本的な指標です。目的の情報にたどり着くまでに何回クリックや操作が必要かを数えます。ステップが多いほど離脱しやすくなるため、できるだけ少ないステップで到達できる経路が望ましいです。
各ページでの判断しやすさも重要な軸です。訪問者が次にどこへ進めばよいかをそのページだけで判断できるか、補足情報なしに理解できるかを確認します。ナビゲーションや見出し、ボタンのラベルが目的に合っているかどうかが評価のポイントになります。
モバイル環境での再現性も見落とされやすい判断基準です。パソコンでは問題なく動く経路でも、スマートフォンではタップ対象が小さすぎる、メニューが隠れているといった問題が発生することがあります。デバイスを変えて同じ経路を確認することが必要です。
テストの進め方:閲覧目的の設定から検証まで
テストは大きく四つのフェーズに分けて進めると整理しやすいです。それぞれのフェーズを順に説明します。
フェーズ1:閲覧目的を代表的なものに絞る
まずサイトに訪れる人が持ちうる目的を書き出します。たとえばサービスの価格を知りたい場合、問い合わせ先を探している場合、特定の機能が自社に使えるかを確認したい場合などが考えられます。目的は実際の問い合わせ内容や検索キーワードのデータを参考に絞り込むと、優先度をつけやすくなります。すべての目的を一度にテストしようとすると作業量が増えすぎるため、影響の大きい三つから五つに絞ることをお勧めします。
フェーズ2:各目的の到達ゴールと出発点を定義する
目的ごとに、どのページにたどり着ければ情報到達とみなすかを先に決めます。たとえば価格を知りたい場合であれば、料金一覧ページや見積もりフォームの表示がゴールになりえます。出発点はトップページだけでなく、検索結果から直接入るケースも含めて設定します。検索経由の流入が多いサイトでは、トップページ以外を起点にしたテストが特に重要です。
フェーズ3:経路を実際に辿って記録する
設定した目的ごとに、実際にブラウザでサイトを操作しながら経路を追います。このとき、どのリンクをクリックしたか、どこで迷ったか、どこで戻ったかをメモしておきます。画面録画ツールを使うと後から見直しやすくなります。操作はパソコンとスマートフォンの両方で行い、それぞれの結果を別々に記録してください。
フェーズ4:結果を分類して優先度を付ける
記録をもとに、経路上の問題を三種類に分けます。到達できなかったケース、到達できたが手間がかかったケース、スムーズに到達できたケースです。到達できなかった経路は優先的に対処が必要です。手間がかかったケースについては、ナビゲーションの改善やリンクの追加で解消できることが多いです。
テスト中に見落としやすい注意点とリスク
テストを行う際には、いくつかの落とし穴に気をつける必要があります。
最も多い注意点は、テスト実施者がサイトの構造を知りすぎていることです。担当者が自分でテストすると、無意識に正しい経路を選んでしまい、訪問者が迷う箇所を見逃す可能性があります。可能であれば、サイトをよく知らない社内外の人に操作してもらい、詰まった箇所を報告してもらう方法が有効です。
キャッシュやログイン状態の影響にも注意が必要です。テストをブラウザのシークレットモードで行うと、ログアウト状態や初回訪問に近い条件で確認できます。通常モードでテストすると、ログイン済みの状態や過去の閲覧履歴によって表示が変わることがあり、一般訪問者の体験と異なる結果になるリスクがあります。
また、修正を急いで大量に行うリスクもあります。問題が複数見つかると、まとめて修正したくなりますが、変更点が多いと何が改善に効いたかを後から判断しにくくなります。優先度の高い箇所から一つずつ修正し、変更後に同じ経路を再テストするサイクルを意識してください。修正履歴を残しておくことも、サイトの継続的な保守・運用において役立ちます。
さらに、アクセス解析データと照らし合わせずに経路テストだけを行うと、実際の訪問者の行動と乖離した判断をするリスクがあります。テスト結果と離脱率や流入ページのデータを組み合わせて判断することで、対処の優先度をより正確に決められます。
テスト前の確認項目チェックリスト
テストを始める前に、以下の項目を確認しておくと作業がスムーズに進みます。準備が不十分なまま始めると、テスト条件がばらつき、結果の信頼性が下がります。
- テストする閲覧目的が三つ以上、五つ以下に絞られているか
- 各目的の到達ゴールページが明確に定義されているか
- 出発点にトップページ以外(検索流入ページなど)が含まれているか
- シークレットモードまたはログアウト状態でテストする準備ができているか
- パソコンとスマートフォンの両方でテストできる環境があるか
- 経路とメモを記録する手段(メモ帳、スプレッドシートなど)が用意されているか
- サイトをよく知らない人にも操作を依頼できる状況か、または代替の確認方法があるか
- 修正前後を比較するためにテスト結果の保存方法が決まっているか
テストの結果は一回限りで終わりにするのではなく、サイトの更新やリニューアル後に定期的に繰り返すことで、経路の品質を継続して保てます。情報到達の問題は、コンテンツを増やしたり構造を変えたりするたびに再発しやすいため、定期確認の仕組みに組み込むことをお勧めします。サイトのさまざまな問題の切り分け方については、関連記事も参考にしてください。
経路の改善はデザインだけでなく、訪問者の行動パターンに基づいたWebマーケティングの取り組みと組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。テストで見つけた課題を解決するための方針が定まったら、お問い合わせから相談することも選択肢のひとつです。
